倉庫の仕事は、荷物を置いて出すだけの単純な作業に見えて、実際には情報を扱う仕事です。どこに何がいくつあるか、何がいつ出ていったか。この記録が実物とずれた瞬間に、現場は止まります。
この記事では、福岡市東区香椎浜埠頭の冷凍・冷蔵倉庫で、どこまでを仕組みに任せ、どこから先を人が見ているのかを書きます。大がかりなDXの話ではなく、日々の作業をどう組み立てているかという話です。
在庫が合わなくなるのは、数え間違いだけが理由ではない
在庫が帳簿と合わない、という相談は珍しくありません。原因を追っていくと、単純な数え間違いよりも、記録するタイミングが人によって違うことのほうが多く見つかります。
荷物を庫内に入れた時点で記録する人と、伝票を処理し終えてから記録する人がいると、同じ日の同じ時刻に見た在庫の数が一致しません。日をまたぐとさらに分からなくなります。ここは仕組みで揃えられる部分なので、いつの時点で数えたものを正とするかを先に決めておきます。
そのうえで、システム上の数と庫内の実物を定期的に突き合わせます。差が出たときに、その場で数を合わせて終わりにしないことが大事です。どの作業で生じた差なのかまで戻らないと、翌月も同じことが起こります。数百パレット規模の現場で在庫のズレが起きていた例は「在庫が合わない状態から立て直す」に書きました。
間違いが起きやすい注文には、別の手順を用意する
出荷のミスは、集中力の問題として扱っても減りません。減るのは、間違いが起きやすい形の注文を先に見つけて、そこだけ別の手順に流したときです。
通常と分けて扱っている注文
- 温度帯が混ざる注文:冷凍と冷蔵を同じ梱包に入れられないため、分けて出す
- 附帯作業のある注文:熨斗がけやギフト包装が入るもの
- 1個単位の出庫:ケース単位の作業とは数え方が変わる
- 日付や時間の指定があるもの:出荷の順番自体が変わる
これらを通常の出荷と同じ列に流すと、必ずどこかで取り違えが起きます。作業する人が気をつけるのではなく、そもそも同じ列に入らないようにしておく。業務設計というのは、突き詰めるとこういう地味な切り分けの積み重ねです。
AIを使っているのは、判断の手前の部分
AIについても触れておきます。マクティスでも日々の業務で使っていますが、使っているのは判断そのものではなく、判断する前の段取りの部分です。
たとえば、入出荷のデータを見やすい形に整理する下準備。届いた問い合わせを内容ごとに仕分けて、どれから見るべきかを並べる作業。こうした、時間はかかるが判断は要らない部分から手をつけています。
逆に、何をどこに置くか、この注文をどう扱うか、在庫の差をどう解釈するかといった判断は人が行っています。倉庫の仕事は、間違えたときに商品そのものが傷む仕事です。最後は人が見る、という線は動かしていません。
お客様のやり方に、こちらを合わせる
委託先を探している方から、「そちらのシステムに合わせないといけないのか」と聞かれることがあります。できるだけそうならないようにしています。
出荷指示をどのような形で受け取れるかは、お使いの受注システムや帳票の形式によって変わります。CSVでの受け渡しなど現実的な方法を、現在の出し方をうかがったうえでご相談しながら決めていきます。倉庫の型に業務を合わせてもらうより、いまのやり方をなるべく残したまま預けられるほうが、切り替えの負担は小さくなります。
倉庫を切り替えるときに確認しておきたいことは「いまの出荷のやり方を変えずに、冷凍・冷蔵倉庫を切り替えられるのか」に整理しました。ご相談から運用開始までの流れは事業内容のページをご覧ください。
よくある質問
在庫の数はどのように管理していますか?
A. システム上の数と、庫内にある実物の数を定期的に突き合わせています。差が出た場合は、その原因がどの作業で生じたのかを遡って確認します。差を埋めて終わりにすると同じことが繰り返されるため、原因まで戻ることを運用の中に組み込んでいます。
出荷のミスを防ぐために、どんな工夫をしていますか?
A. 人が覚えていることに頼らず、確認の手順そのものを作業の流れに埋め込む形をとっています。特に、冷凍と冷蔵が混ざる注文や、熨斗がけなどの附帯作業が入る注文は間違いが起きやすいため、通常の出荷とは別の手順を用意しています。
AIを使って人の判断を置き換えているのですか?
A. 置き換えてはいません。使っているのは、データの整理や下準備、問い合わせ内容の仕分けといった、人が判断する前の段取りの部分です。何をどこに置くか、この出荷をどう扱うかといった判断は人が行っています。
倉庫のシステムに合わせて、こちらの運用を変える必要がありますか?
A. できるだけそうならないようにしています。出荷指示をどのような形で受け取れるかはお使いのシステムや帳票によって変わるため、現在どのような形で出荷指示を出しているかをうかがったうえで、現実的な受け渡し方法を個別にご相談します。
